
「4%ルール」は保守的すぎる?──考案者ビル・ベンゲン氏が語る早期リタイアの落とし穴
早期リタイア(FIRE)を目指す人の多くが、長年の指針としてきたのが「4%ルール」だ。
しかし、その4%ルールの考案者本人である金融アドバイザーの Bill Bengen(ビル・ベンゲン) 氏が、「早期リタイア希望者は少し自分を欺いているかもしれない」と警鐘を鳴らしている。
FIREムーブメントと4%ルールとは?
FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは、現役時代に高い貯蓄率で資産を築き、投資収益を生活費に充てて早期に仕事から自由になる考え方だ。
このFIRE界隈で長年使われてきたのが「4%ルール」。
- 株式+債券の分散ポートフォリオ
- 毎年資産の4%を取り崩す
- 30年間は資金が枯渇しない
という前提で設計された、いわば「安全な引き出し率」の目安である。
ベンゲン氏の新提案:「4.7%まで引き上げ可能」
ベンゲン氏は最新の分析と著書の中で、
安全な引き出し率は4%ではなく、約4.7%まで引き上げられる可能性がある
と述べている。
特に、
- インフレ率が低い局面
- 適切な資産配分ができている場合
には、従来より多く引き出しても耐えられるという見解だ。
もともと彼の研究は、
- 1926年以降の長期の米国市場データ
- どの時点で退職しても30年間資金が尽きない率
を探る、極めて保守的な前提で行われていた。
それでも「楽観しすぎるな」と強調
一方で、ベンゲン氏は楽観論への警戒も忘れていない。
特に注意すべきなのが「退職直後の暴落リスク」だ。
退職直後に大きな株価下落が起きると、
資産が減った状態で取り崩しが続くため、
持続可能な引き出し率は大きく下がる。
いわゆる「シーケンス・オブ・リターンズ・リスク」である。
結論:数字よりも「不確実性」を前提にせよ
ベンゲン氏は最終的に、次のように締めくくっている。
- 市場がどう動くかは分からない
- インフレがどうなるかも分からない
- 自分が何歳まで生きるかも分からない
- 30年後の生活費など、誰にも予測できない
だからこそ、
引き出し率は常に保守的に考えるべきだ
という姿勢を崩していない。
🔑 日本向け補足(FIRE実践者への示唆)
- 年金・税制・医療費が米国と異なる日本では、
4.7%をそのまま採用するのは危険 - 定率取り崩しよりも
可変型(Guardrails方式)や支出調整型の方が現実的 - 「数字」ではなく
柔軟に生き方を変えられる設計が重要
