以下は、GOBankingRates掲載記事
「What the FIRE Movement Got Right — and Wrong — About Retirement」
(2025年10月31日公開)の日本語まとめ記事です。

🔥 FIREムーブメントの「正しい点」と「誤った点」──早期リタイア運動が教えてくれたお金と人生のバランス
近年、「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」──経済的自立と早期退職を目指すムーブメントが世界中で注目を集めています。
徹底した節約・投資・支出管理により、65歳を待たずして自由を手に入れようという考え方です。
しかし、専門家たちは「FIREは確かに素晴らしい点もあるが、落とし穴も多い」と指摘します。
この記事では、複数のファイナンシャルプランナーやリタイアメント専門家が語る、FIREの“功罪”を整理します。
🌟 FIREの良い点(What It Gets Right)
1️⃣ 価値観と目的を明確にする
認定ファイナンシャルプランナー Stephan Shipe 氏はこう述べます。
「FIREは、自分が本当に何を大切にしているのかを考え、目的を持って貯蓄するよう人々を促す。」
無駄な消費を見直すことで「お金と人生の関係」を深く考えるきっかけを与える点がFIREの最大の利点です。
2️⃣ “ライフスタイル・クリープ”を防ぐ
Michael LaCivita 氏(Domain Money)は、FIREの支出管理・予算意識を高く評価しています。
「収入が増えると支出も増える“ライフスタイル・クリープ”を防げる。
昇給しても浪費せず、貯蓄や投資を優先できる。」
収入増に見合う節度ある生活を維持するという、FIREの根本的な習慣は誰にとっても有益です。
3️⃣ 金融リテラシーを高める
リタイア専門企業 Retirable のCEO Tyler End 氏によると、FIREの普及が個人の金融教育を促進しているといいます。
「FIREの最大の成果は、人々が金融リテラシーを高めたことだ。
節約・投資・資産形成の基本を学ぶことで、より賢い意思決定ができるようになった。」
実際、FIREを実践した人の中には途中で方針を緩めても、
その後も“お金に対する健全な意識”を持ち続けるケースが多いそうです。
⚠️ FIREの誤り(Where It Gets Wrong)
1️⃣ 「人生の時間」と「健康」を過小評価している
End氏は、「人生は短く、健康は保証されていない」と警鐘を鳴らします。
20代・30代を極端な節約で過ごし、後に健康や家族の事情で後悔する人もいるといいます。
「バランスを取ることが、FIREを続けるうえで最も持続可能な方法だ。」
2️⃣ 医療費や生活変化を見落としがち
FIREでは、65歳以前の医療費が過小評価されがちです。
50歳でリタイアした場合、メディケア適用まで10年以上も自費負担が続く可能性があります。
また、子どもの誕生などライフイベントで支出が急増するケースも多く、
初期計画どおりにいかないことも珍しくありません。
3️⃣ リタイア後の「生き方」を描けない人も
LaCivita氏は、「FIREは目標達成後に空虚感を残す可能性がある」と指摘します。
「数字だけを追うと、引退後に“何をしたいか”が見えなくなる。
人生はスプレッドシートだけで設計できない。」
過度な節約が人間関係や体験を犠牲にするリスクもあると警告します。
🌈 バランスの取れたFIREのすすめ
専門家たちは、FIREの理念を「柔軟な形で取り入れる」ことを推奨しています。
- Shipe氏:リタイアの「試運転」を早期に行い、働き方や生活リズムを調整。
- LaCivita氏:完全引退ではなく、労働時間を減らして家族との時間を増やすなど段階的に。
- End氏:「節約・投資・計画性というFIREの原則は素晴らしい。
ただし、現在の幸せを犠牲にしてまで未来を追う必要はない。」
💬 FIREムーブメントの「正しい点」と「誤った点」のまとめ
FIREムーブメントは、金融教育・節約意識・価値観の明確化という点で非常に意義があります。
一方で、“早く自由になる”ことばかりを目的化すると、人生そのものを見失う危険も。
本当の「経済的自立」とは、
お金のために生きるのではなく、人生を自由にデザインできる状態を意味します。
